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故郷の「シーフレンズふたみ」が新聞に掲載されました!

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 2018年6月27日の夜、LINE着信。それは故郷の親戚からでした。


 
 文字が小さく、なかなか読めそうもないので、打ち込んでおきました!!

2018年6月27日(水)朝日新聞下関版より

約束のレストラン笑顔の輪

 お父さん、レストランを開いてもう2年になるよ。私たち頑張っているよー。
 下関市豊北町の藤尾憲美さん(71)は心の中で語りかける。
 その相手は、開店して半年余で亡くなった夫だ。
 悲しみの底で、店を続けられないと思った。
 仲間と一緒に奮起できたのは、街を元気にしようという夫との約束だった。

「お待たせしました!」元気な声で藤尾さんが食事を運ぶ。
 響灘を望む国道191号線沿いの「海辺の小さなレストラン シーフレンズふたみ」。
 地元の漁師や道の駅「北浦街道豊北」から仕入れた新鮮な食材が評判で、県内はもちろん九州からの客もいる。

 開店は2016年7月。代表の藤尾さんが呼びかけ、豊北町二見地区の女性10人が出資した。
 その人たちがボランティアで厨房や接客を担う。店内に女性たちの笑い声が響いている。
 
 藤尾さんがこの店でめざしたのは、ふるさとのにぎわいを取り戻し、働く場をつくることだった。
 合併前の旧豊北町は1955年の人口が2万8千人以上だったが、90年に1万6千人弱に。今年6月現在で約9千人までに減った。
 主な産業は漁業や農業で勤め先が限られ、若い世代の流出が過疎化を加速させている。

 旧豊北町議や下関市議として16年近く街づくりに関わってきた藤尾さん。引退後、国道191号線に目をつけた。
 海の眺めが美しさから「ブルーライン」とも呼ばれ、絶景スポット・角島大橋へ至る人気のドライブコースだ。
 観光客を呼び込もうと十数年前、仲間の女性たちと週末に居間の場所で、とれたての魚を売り始めた。
 5年ほど続け、サザエ飯の販売に切り替えた。味の良さが好評で、客から「ここで食べたい」と要望され、開業にこぎ着けた。

 地元のために奔走する藤尾さんを、夫の久幸さんはいつも応援してくれた。フェリー会社で船長まで勤め上げると、店のために漁に出た。
 藤尾さんが、「腕がよくて、いつも魚をいっぱい持って帰ってくれた」と振り返る。
 ところが昨年2月、71歳の久幸さんは漁に出たまま帰らなかった。「体調が悪くなって、海に転落したんだと思う」と憲美さん。
 突然の別れを受け入れられなかった。しばらく店を閉じた。
 
 やさしい夫だった。2人の子どもを叱ったこともなく、いつも藤尾さんの味方だった。レストランで地域おこしをしたいと伝えたときも賛同し、協力してくれた。
 
 藤尾さんは夫との約束を果たそうと思った。事故から2ヶ月後に店を再開した。その直後、自宅近くの岸辺にある二見夫婦岩の近くで、夫が見つかった。

 店の出資者の平均年齢は67歳を超えるが、藤尾さんの長女、升田幸代さん(40)もいる。高齢化が進む町で3人の子育て中だ。「娘たちの世代が生計を立てられる。
 そんな店のシステムをつくりたい」。藤尾さんの夢はふくらんでいる。
(山田菜の花)

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